最新版 論文の教室 レポートから卒論まで
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『最新版 論文の教室』が出ていたので買った。『新版 論文の教室』から10年ぶりの改訂だ。初版からはもう20年のロングセラーとなる。論文・レポートの書き方本としては定番だ。レポートなど書いたことがない人にも、丁寧に教えてくれる。
ユーモアのある文体 #
かなり砕けた調子のユーモアのある文体が特徴だ。こんな本はあまりないかも。作文の苦手な主人公、作文ヘタ夫が著者と相談しながら論文を書き上げる、というストーリー仕立てになっている。ノリについていけないところもあるが、思わず笑ってしまうところもある。
いきなり司馬遼太郎調になるところなど面白い。実は司馬遼太郎を読んだことはないが、それでも面白かった。
そうであった。 「パラグラフ」 である。「パラグラフ」は、我が国で言う「段落」とはまったく異なるものであるらしい。 どこが異なるか(いきなりの講釈で、読者には気の毒だが)。 …… 戸田山和久 『最新版 論文の教室 レポートから卒論まで』 第7章7-1
『新版 論文の教室』との違い #
「最新版へのあとがき」によると、変更点は以下の通り。
- 文献の探し方をアップデート。
- おすすめの図書の追加。
- 禁句集の増補。
- 例文などの事例を新しいものに。
ざっと読んだところ、もっとも大きな違いは文献資料の探し方だ。国立国会図書館サーチ(NDL Search)やGoogle Scholarを使うなど現代にふさわしいアドバイスになっている。
本の宣伝文句に「文章指南パートを大幅増量!」とあったが、これは巻末付録の「禁句集」が増量されたことを指しているのだろう。「わかりやすい文章を書くために」の章に何かが追加されたわけではないようだ。
既に 『新版 論文の教室』を持っている人は、値段のわりに得るところが少ないかもしれない。もう一度読み直す機会として購入するくらいか。まあ、僕は購入したのだが。